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トラック編!改善基準告示の改正で何が変わった?(2024年4月)

トラック安全運転

トラック編!改善基準告示の改正で何が変わった?(2024年4月)

2024年4月1日に改善基準告示が改正されました。これは、トラック業界をはじめとする自動車運転者の労働時間の基準を定めたものです。ドライバーの長時間労働を防ぐことはドライバー自身だけではなく、安全確保の観点からも重要となります。今回は、分かりやすく改正された箇所のみをピックアップして解説します。

  1. 改善基準告示とは(2024年改正)
  2. 変更点①拘束時間の限度(1日)
  3. 変更点②拘束時間の限度(1か月)
  4. 変更点③拘束時間の限度(1年)
  5. 変更点④休息期間
  6. 変更点⑤運転時間と連続運転
    1. 運転時間
    2. 連続時間
  7. 特例①休息期間分割
  8. 特例②2人乗務
  9. 特例③隔日勤務
  10. 特例④フェリーに乗船する場合
  11. 例外的な取り扱い
  12. 改善基準告示を守らなかったらどうなる?罰則は?
  13. 改善基準告示を動画で学ぶ
  14. まとめ

改善基準告示とは(2024年改正)

2024年4月1日に改正された改善基準告示とは、厚生労働大臣が告示した「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」のことを指します。ドライバーの長時間労働を防ぐことは、ドライバー自身の健康確保のみならず、安全確保の観点からも重要です。トラックのみならず、バスやハイヤー、タクシーなどの自動車運転者について、労働時間など労働条件の向上を図るため拘束時間の上限や休息時間についての基準が設けられています。

変更点①拘束時間の限度(1日)

1日の拘束時間の変更点

改正前は1日の拘束時間は、従来13時間以内・延長した場合は1日最大16時間まで・15時間を超える回数は1週間に2回まででした。
改正後は、原則13時間を超えない・延長した場合は1日最大15時間まで・14時間を超える回数はできるだけ少なくする決まりとなりました。

変更点②拘束時間の限度(1か月)

1か月の拘束時間の変更点

1ヶ月の拘束時間は、従来293時間・最大320時間だったものの、改正後は原則284時間以内に変更されました。ただし、労使協定により、年間6か月までは年間の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を310時間まで延長できます。

この場合、1ヶ月の拘束時間が284時間を超える月が3ヶ月を超えて連続しないものとし、1ヶ月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努めなければなりません。

変更点③拘束時間の限度(1年)

1年の拘束時間の変更点

1年の拘束時間は、従来3,516時間だったものの、改正後は原則3,300時間以内に変更されました。労使協定により、最大3,400時間以内まで延長が可能です。

なお、1ヶ月・1年の拘束時間における延長は、①②を満たす必要があります。

  1. 284時間超は連続3ヶ月まで
  2. 1ヶ月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるように努める

変更点④休息期間

1日の休息期間の変更点

1日の休息期間は、従来継続8時間だったものの、改正後は継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らないように変更されました。例外として、宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、継続8時間以上が週2回まで認められますが、休息期間のいずれかが9時間を下回る場合は、運行終了後に継続12時間以上の休息期間を与えなければなりません。

変更点⑤運転時間と連続運転

サービスエリア

ここでは運転時間と連続運転時間について解説します。

運転時間

運転時間についての改正はありません。

これまで通り、1日の運転時間は、2日間を平均して1日あたり9時間が限度・1週間の運転時間は2週間ごとの平均で44時間が限度です。

例えば以下の場合は違反となるため、見直しが必要となります。

  • 毎日の運転時間:9時間
  • 週5日勤務
  • ▶︎5日×9時間×2週間=90時間÷2週間=45時間/週
    ➡︎限度時間の44時間を超えているので違反になる

連続時間

連続運転時間は、従来1回が連続10分以上で、かつ合計30分以上の運転の中断をすることなく 連続して運転する時間が、4時間を超えてはいけませんでした。

改正後は、1回が概ね連続10分以上で、かつ、合計30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間が、4時間を超えてはいけなくなりました。当該運転の中断は、原則休憩となります。 なお、概ね連続10分以上とは、10分未満の運転の中断が3回以上連続しないことです。ただし、サービスエリアやパーキングエリア等に駐車または停車できず、連続運転時間が4時間を超える場合には、30分まで延長可能です。

特例①休息期間分割

サービスエリアに並ぶトラック

従来は、業務上、勤務終了後継続8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合、一定期間(2週間から4週間程度)における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができる、とされていましたが、改正後は「勤務終了後継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合」と変更されました。また一定期間も1か月程度と変更になりました。

ただし、長距離貨物運送に従事する自動車運転者であり、1週間における運行がすべて長距離貨物運送、かつ一運行における休息期間が従来地以外の場所におけるものである場合は、継続8時間以上の休息期間でも問題ありません。

また、従来は分割された休息期間は1日において1回あたり継続4時間以上・合計10時間以上、2分割まで、とされていましたが改正後は3分割まで認められるようようになり、1回あたり継続3時間以上・2分割の場合は合計10時間以上、3分割の場合は合計12時間以上に変更されました。休息期間が3分割される日は連続しないよう努めなければなりません。

特例②2人乗務

トラック運転者が1台の車両に2人以上乗務する場合、最大拘束時間を20時間まで延長可能です。ただし、当該設備が下記に該当する車両内ベッドまたはこれに準ずるものであり、かつ一の運行が終了後、継続11時間以上の休息期間を与える時は、拘束時間を24時間まで延長可能です。

また、当該車両ベッド等において、8時間以上の仮眠時間を与える場合、拘束時間を28時間まで延長できます。

  1. 車両内ベッドは、長さ198cm以上、かつ、幅80cm以上の連続した平面であること
  2. 車両内ベッドは、クッション材等により走行中の路面等からの衝撃が緩和されるものであること

出典:トラック運転者の改善基準告示

特例③隔日勤務

カレンダーに休日を記入する

2暦日(午前0時から翌日の午前0時までの、日付を跨ぐ24時間)における拘束時間は21時間を超えないものとし、事業場内仮眠施設または同種の施設において、4時間以上の仮眠時間を与える場合、2週につき3回を限度に、2暦日における拘束時間を24時間まで延長可能です。

この場合、2週における総拘束時間は126時間(21時間×6勤務)を超えてはいけません。勤務終了後は、継続20時間以上の休息期間を与える必要があります。

特例④フェリーに乗船する場合

フェリーに乗船している時間は、原則休息期間として取り扱います。この場合、与えるべき休息期間の時間から、フェリー乗船中の休息期間について減ずることが可能です。ただし、減算後の休息期間は、フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはいけません。なお2人乗務の場合は除きます。

なお、フェリーの乗船時間が8時間を超える・2人乗務の場合は4時間・隔日勤務の場合は20時間を超える場合には、フェリー下船時刻から次の勤務が開始されます。

例外的な取り扱い

トラックドライバー

事故や故障、災害んど通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間や運転時間(2日平均)、連続運転時間の規制の適用に当たっては、その対応に要した時間を除くことができます。なお、勤務終了後は、通常どおりの休息期間を与えなければなりません。

※ 休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。

■具体的な事由

  • ア 運転中に乗務している車両が予期せず故障した場合
  • イ 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した場合
  • ウ 運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖された場合、道路が渋滞した場合
  • エ 異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となった場合

出典:トラック運転者の改善基準告示(2024年4月1日施行)

改善基準告示を守らなかったらどうなる?罰則は?

改善基準告示は、法律ではなく厚生労働大臣によって適切な労働条件の基準を定めた告示です。そのため、改善基準告示に違反しても、懲役や罰金といった罰則はありません。しかし、違反が認められた場合は指導の対象となります。

運行計画で改善基準告示の基準を守っていても、実際の労働時間が基準を超えている場合は違反です。計画だけではなく実際の運行状況を常に監視し、必要に応じて適切な調整を行いましょう。

改善基準告示を動画で学ぶ

改善基準告示改正により、なんとなく内容は理解しているけど具体的な数字を覚えられない、という方も多いのではないでしょうか。そのような時におすすめなのが、グッドラーニング!チャンネルの活用です。

グッドラーニング!チャンネルでは、元運行管理者が改善基準告示について、改正された箇所のみをピックアップし分かりやすく解説しています。忙しくて時間がない、覚える手間を省きたいという方は、ぜひ動画を活用してください。

まとめ

高速道路を走るトラック

2024年4月1日に改正された改善基準告示は、トラックドライバーだけではなく安全確保の観点からも重要です。自動車運転者の労働時間の基準をしっかり定めることで、より良いトラック業界を目指しています。しかし、改善基準告示の改正により大幅に変更された項目は、中々すぐには覚えられません。そこでおすすめなのがe-ラーニングの活用です。

グッドラーニング!は、時間や場所を選ばず、好きな時に学びたいものを学べるe-ラーニング教材となっています。e-ラーニングを活用することでコストや負担を解決できる可能性もあるため、ぜひ検討してみてください。

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